新型ウイルスにより、『在宅勤務』という働き方が日本で広まって、もう1年が経過しますが、在宅と同時に増えている物があります。
それが『虫歯』です。さらに、在宅期間中の虫歯には『進行がとても早い』という特徴があります。
なぜ在宅期間中に虫歯の進行が早まるのでしょうか?
気が付いたら歯にぽっかりと穴が!?
歯を磨いている時に、奥歯を見ると「ぽっかりと穴が開いてしまっていた」なんてことはありませんか?
当院でも歯科健診をしていて、在宅時間が増えて以来、虫歯の進行がとても早く、そして複数の場所が虫歯になってしまっているという印象があります。
これは虫歯菌にとって『成長しやすい環境』が在宅によって出来上がってしまっていることになります。
それでは”虫歯菌の成長しやすい環境”とはどういうものでしょうか。
虫歯になる仕組み
口の中には少なからず虫歯菌が存在していますが、この虫歯菌は歯に付着すると、口の中の食事やおやつ等に含まれている『砂糖』を食べながら、ネバネバした液体を出し、周辺の菌を集め、菌の塊である『プラーク』となります。
このプラークを放置していると、さらに砂糖を食べて、その排出物として『酸』を放出します。
この酸が歯の表面を溶かし、歯の表面に穴を開けます。
TIPS
酸によって、歯からカルシウムやリンなどが溶け出すことを『脱灰』と呼び、歯から溶け出たカルシウムやリンなどが、フッ素の力で再び歯の中に取り込まれることを『再石灰化』と呼びます。
歯磨き粉のCMでよく聞く『再石灰化』ですが、プラークが歯の表面についていると、歯磨き粉やうがい薬を遮断し、歯の表面がフッ素に触れないため、再石灰化が起こらず、どんどん脱灰が進み、歯に大きな穴が開いてしまいます。
虫歯以外の歯が溶ける原因
一般的に歯磨きをしないと虫歯になると言われていますが、前述の通り、歯を溶かす酸は虫歯菌が砂糖を食べてから排出されます。
しかし、他にも酸を発生させる物があり、それが食べ物を食べた時に発生する酸やフルーツジュースやコーラなどに含まれる酸です。
これらは菌の増殖は関係なく歯を溶かしていきます。
在宅時間が増えたことで、以下のような生活の変化が出ているのではないでしょうか?
- 食べ物がすぐ近くにある
- 会社で用意されている水やコーヒー、お茶等ではなく、甘い物や炭酸ジュースを飲む割合が増えている
- 生活リズムが崩れている
- 食べている時間が長くなった、間食が増えた
口の中に何か入ってることで、消化しようとして口の中が酸性に傾くので、この酸性化している時間が長くなってしまっていることが考えられます。
学校では給食時間、職場では休憩時間が決まっていますが、家に居るとついついそばにある食べ物に手を伸ばしてしまいがちになります。
歯の寿命を延ばすためにも、在宅であっても食事時間を決めて、食後はすぐに歯磨きをしましょう。
表面的には小さな穴でも、レントゲンで見ると深く神経まで達している事例もあり、神経を抜くと歯そのものが脆くなってしまうので、定期的に歯科健診を受診しましょう。