移植

歯科で奥歯を治療してきたが、なかなか改善されない26歳の女性を診させていただきました。根管口の破壊、残存歯質の質の悪さ、量の減少が確認できました。保存不可能な親知らず(上顎左側第三大臼歯)を抜歯し、保存不可能な虫歯(上顎左側第一大臼歯)の位置に移植、根管治療、歯冠長延長術、補綴(ほてつ)をすることにしました。

不幸にして歯を失くした場合、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類の治療法がありますが、このケースの場合、患者さんの年齢が若いためできうるかぎり大きく歯を削るブリッジは避けたいと考えました。幸い親知らず(上顎第三大臼歯)があり,この周辺の歯肉の炎症もありません。移植歯の歯根膜により抜歯をよぎなくされた部位の骨の造成ができると思います。

※移植歯の経過は書物、文献によりさまざまで、使用できた年数は5~20年ぐらいとさまざまな見解があります。もしだめになっても骨の再生ができておりインプラント治療を行い易いものになります。

  1. 拡大しているところが虫歯の上顎左側第一大臼歯です。残存している歯が少ないのが確認できます。
  2. shorei1[1]

  3. 親知らずを抜歯し、虫歯の位置に移植。その後、根管治療を施術。抜歯した歯と移植する箇所の高度な治療が必要です。
  4. shorei2[1]

  5. 親知らずを抜歯し、虫歯の位置に移植。その後、根管治療を施術。
  6. shorei3[1]
    このケースでは元から歯の高さが不足していました。写真のように元から入っていた一番奥のクラウン(被せ物)も高さ不足です。移植歯と一番奥の歯がより理想的な高さで回復できるよう、歯冠長延長術を行い、クラウン(被せ物)を入れました。

  7. クラウン(被せ物)セット時
  8. shorei4[1]

  9. メンテナンスに来院時の写真です。大変良好な状態で、快適に利用いただいています。
  10. shorei5[1]

保存不可能な虫歯の患者さんに歯牙移植の治療計画をお勧めし、治療を実施しました。

  • 症例 36歳 男性
  • 主訴 右下5番(第二小臼歯)金属(被せ物、クラウン)がとれた。
  • 治療計画 右下5番(第二小臼歯)は虫歯が歯ぐきの下深くまで進んでおり、保存不可能と診断。この歯を喪失した場合、前後の歯を削ってブリッジかインプラント治療をほとんどの歯科医が選択されると思う。幸いこのケースの場合、左下に内側に倒れている5番(第二小臼歯)があり、この歯を同部位に歯牙移植し、右下の機能、形態の回復を図り、しかも、左下の清掃できない環境(術前写真より何か黒い物が詰まっていることが確認できます)も改善できると考えました。
  1. 虫歯の確認:虫歯が歯ぐきの下深くまで進んでおり、保存不可能と診断しました。<2008/4/11> shorei2-1[1]
  2. 左下に内側に倒れている歯があり、この歯を移植を計画しました。shorei2-2[1]
  3. 次の写真が移植後です。ピッタリと納めることが出来ました。<2008/7/11> shorei2-3[1]
  4. 術後感想 患者さんから大変喜びの言葉をいただきました。日常臨床の中で、歯牙移植という手技をいかせたケースだと思います。移植した歯も大きさがピッタリで、上の歯との咬み合せの調整もエナメル質の範囲でちょっと削るのみでした。勤務医時代に私に歯牙移植の手技を教え指導してくださった先生に感謝です。
    shorei2-4[1]

歯周炎の患者さんの症例を紹介します。2007年11月に歯周炎が急性化し、かなりの痛みをともなうようになり、来院されました。歯周炎により上皮組織、結合組織の破壊および骨破壊の結果、著しい歯根の露出が認められます。写真にあるように、本来、歯が埋まっている歯肉(歯ぐき)のところに、歯根がむき出しになっている様子がわかると思います。明らかな歯周炎であり、危険な状態といえるでしょう。現実的にかなりの痛みを伴う為、一般的な対処法として、神経を抜き痛みを除去する方法をとることがあります。一時的に痛みはなくなりますが、いずれ、歯が抜けてしまう可能性が高いです。根本的な解決とはいえませんので、神経を抜くことは勧めしませんでした。(分岐部に病変はありませんでした)今回は、歯肉(歯ぐき)を移植し復元する治療方法を紹介します。

  1. 初診 左上5番6番の慢性歯周炎(まんせいししゅうえん)<2007/11/10>
  2. 200906-11
    歯周炎による上皮および結合組織の破壊、骨破壊の結果、著しい歯根の露出が認められています。抗生物質を投薬し、痛みと腫れに対して治療し、手術が出来る状態を待ちます。

  3. 上皮下結合組織移植手術<2008/1/12>
  4. 20080112_l0032
    2009年1月12日歯肉(歯ぐき)が不足している箇所に、別の場所の歯肉(歯ぐき)を移植する手術を行います。

  5. 採取
  6. 200906-3-31
    口蓋(上顎の内側)より歯肉(上皮下結合組織)を採取し、左上5番6番に移植することにしました。このケースでは、患者の歯根の露出した箇所が厚めであったため、採取する歯肉も厚めの採取になりました。右の写真は採取した上皮下結合組織です。手術時間は1時間を少々越えるぐらいでした。

  7. 術後の経過 その1<2008/1/24>
  8. 200906-41
    写真は採取した歯肉を移植して術後12日の状態です。

  9. 術後の経過 その2<2008/2/7>
  10. 200906-52
    歯肉が綺麗になってきました。ここから少し歯肉がはい上がってきます。(クリーピング アタッチメント)

  11. 術後の経過 その3<2008/4/5>
  12. 200906-62
    綺麗に回復できたと思います。

  13. 術後の経過 その4<2010/5/15>
  14. ketsugo2010
    2年4ヶ月後になります。

  15. 感想 (Before-After)
  16. shorei4-ba3
    神経を抜いたり、抜歯することなく、以前の機能を回復することが出来ました。移植手術は高度な治療の上に、患者さんも大変体力をつかうこととなります。さ らに、歯肉炎の進行がすすめば、病気が歯の下の歯槽骨まで及ぶことになり、歯周病(歯槽膿漏)と呼ばれます。放っておくと、歯がぐらぐらしたり、抜けたりします。歯周病の怖さを十分理解していただきたいと思います。
    日本の30歳以上の約80%が歯周病、あるいはその予備軍と言われています。口腔内には、毎日ご自身で丁寧にブラッシングされても、歯周ポケット内に毛先が届かず細菌が残りやすいため、セルフケアだけでは歯周炎を防ぐことが難しいのです。一度、プロフェッショナルケアーを受診されてみることをお勧めします。

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